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書名: 『アミ 小さな宇宙人――アダムスキー、マイヤーをしのぐUFO体験――

書誌:
原題  Ami, el nino de las estrellas (c)1991
著者  エンリケ・バリオス
訳者  石原彰二
発行  株式会社徳間書店(1995年3月31日初版発行)
私評:
注意(大人のみに向けた) 読み続けないように! きっとおもしろくないでしょう。ここに書いてあるのは。すばらしいことばかりだから。>

 最初にあるこの「注意」が、ある意味でこの本のすべてを表している。良くも悪くも、この本は子供のような無邪気な心に向けて書かれている。
 1986年小さな印刷所から出版された本書は次々と版を重ね、チリでは常にベストセラーの座を占め、何カ国語にも翻訳され、ローマ法王ヨハネ・パウロU世は一読して著者に賞賛の言葉を贈ったという。
 ところで、日本で出版されたこの訳書が日本の子供たちに読まれるかどうかとなると、非常に疑問だ。日本の子供たちは、ここに書かれてあるような「すばらしいこと」に興味を持つことができるのだろうか……。
引用:
 「人によっては、思考の方が愛よりも、上に位置していると考えている。その“クルミ”をあげるのにどうするの?」
 「どうやって驚かせてやるか考えるね」
 「そのために君は頭を使うんだろう。違うかい?」
 「もちろん、そのためのプランを練るよ」
 「だったら、君の頭は、君の愛のために役立たせるの? それとも、その反対?」
 「よく分かんないな」
 「君のおばあちゃんが、幸せになるようにと願うもとは君の愛? それとも思考なの?」
 「ぼくの愛だよ! そこからすべてが生まれている」
 「“そこからすべてが生まれている”。まったくそのとおりだよ。だから最初に愛して、その次ぎに君のおばあちゃんが幸せになるように君の頭を使うわけだね。ペドゥリート」
 「そのとおりだよ。ぼくの頭をぼくの愛のために使うんだ。まず、最初に愛があるんだ」
 「じゃ、愛の上には何があるの?」
 「何もない?」
 「何もない」
 アミは輝いた眼差しをぼくに向けていった。
 「もし、神がたくさんの愛を持っていることが立証できたら、神っていったい何だろう?」
 「知らない」
 「もし、愛よりも何か優れたものがあったとしたら、それは神のはずだろう?」
 「うん、そう思う」
 「愛よりも、偉大なものってなーに?」
 「分からない……」
 「愛の上に何があるって話したっけ?」
 「何もないって」
 「じゃ、神って何なのか?」
 「あっ! “神は愛だ!” 君は何度も言っていたし、聖書にもそう書いてある。でもぼくは、神ってたくさんの愛を持った人間のようなものを想像していたよ……」
 「愛をたくさん持った人間なんかじゃない。神は愛そのものなんだ。愛が神なんだよ」(p207-209)
好み:★★
(注:独断と偏見によるお薦め度、または記憶による感動度・ショック度。一押し、二押し、三押し、特薦。)
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