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書名: 『輪廻転生――驚くべき現代の神話――

書誌:
原題  LIFE BETWEEN LIFE (c)1986
著者  J・L・ホイットン、J・フィッシャー
訳者  片桐すみ子
発行  人文書院(1989年7月25日初版第一刷発行)
私評:
 西洋の心理療法の最先端(催眠誘導による「前世療法」)がついにチベット仏教に言うバルド、中間世の存在を証明した記念碑的著作。
 アメリカでは大人の三分の二が死後の世界を信じ、二十三パーセントが輪廻を信じているという。ところが著者のホイットン博士の仲間内の精神科医でこれを信じているのはわずか五パーセントにすぎないという。
 西洋医学の学者が「輪廻転生」を説くのはまだまだ危険なことであるらしい。しかし、本書では著者は転生を立証しようとするのではなく、「輪廻転生を事実とする前提に立って」、「つぎの転生を迎えるまでの、肉体に宿っていない状態――すなわち中間世――の謎」を明かすような催眠治療のセッションデータを提供している。
 博士がこの中間世に遭遇したきっかけは、博士の催眠誘導の言葉が不明確だったために、患者の潜在意識が博士の指示を誤解したためらしい。その描写部分は本書のひとつの山場で面白いのだが、引用には若干長すぎる。
 つぎの引用は中間世で次回の生涯の条件を選択する場面の説明だ。どうも、われわれはこんなふうに今回も生まれてきたものらしい。
引用:
 ホイットン博士の被験者の証言はみな裁判官の存在を裏付けており、太古から世界各地で語り継がれてきた話をより詳しく述べている。超意識に入っていった人たちほぼ全員が、年老いた賢人たちの集団の前に出て裁きを受けたという。この老賢人たちはたいてい三人、ときには四人、ごくまれに七人のこともあり、その姿はさまざまである。彼らは正体不明のこともあるし、神話に出てくる神々や宗教上の大師の姿をしている場合もある。ある被験者はこう語る。

 「案内者は私の腕を取って、長方形のテーブルを前に裁判官達が着席している部屋へと連れていきました。裁判官たちはゆったりした白い衣装を着ており、みな歳を取っていて賢そうでした。この人たちと一緒にいると、我が身の未熟さを痛感しました。」

 この非物質界の法廷の裁判官は高度に霊的発達を遂げており、この世の転生のサイクルをすでに卒業してしまったかのように思われる。その人たちは目の前の人物に関して知るべきことは何でも直観的に知り、その人が今しがた終えてきたばかりの人生を評価するのを助けてくれる。場合によっては、次の転生についてこうしなさいと教えてくれることもある。(p60)
好み:★★★
(注:独断と偏見によるお薦め度、または記憶による感動度・ショック度。一押し、二押し、三押し、特薦。)
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