書名: 『無条件の愛――キリスト意識を鏡として cover

書誌:
原題  Love wihtout Conditions (c)1994
著者  ポール・フェリーニ
訳者  井辻朱美
発行  株式会社 ナチュラルスピリット(2002年3月3日初版発行)
私評:
 この本は、インターネットで印象的な表紙の絵を見て、かつ帯に書いてあるキューブラー・ロスさんのお薦めに寄り切られて買ってしまった。どうもキューブラー・ロスさんに薦められると買ってしまうようだ。
 しかし、キューブラー・ロスさんが“聖書のように読んでいる”と薦めているだけのことはある。当分、この一冊でその他の本を読む気にならなければいいのだが……。
 ポール・フェリーニさんがこの本で伝達したイエスのメッセージを受け取ることは、一と月やそこらでできることではないのだから……。
 イエスの教えによると、あらゆるスピリチュアルな病の根元には“罪の意識”、つまり“やましさ”があるらしい。自分は“愛されるに値しない”という無価値感こそが、癒されるべきわれわれの“傷”そのものであるらしい。そしてそれを“宥(ゆる)す”ような無条件の愛を他人に求めてもそれは無理だというのだ。
 自分で自らの傷を癒すための無条件の愛を実践しなければならないということらしい。それが自分を“宥す”ということであり、それを行うためには、当面、他人の中に表現されている“宥しがたい自分”を宥すことから始めるより仕方ないというのだ。つまり、他人を無条件に宥すことによって、自らを癒して行くより他に道はないということらしい。
 ……うーむ。
 「なぜ恐怖を抱くのですか。それは、自分に愛される値打ちがなく、おたがいを愛する能力もないと信じているからです。
 たったひとつ、この信念を変えさえすればよいのです。人生のすべてのネガティヴなものは、自分についてのこの誤った信念をぬぎすてたとたんに、はがれ落ちます。」(2003.1/9)
引用:
 あなたは自分がこの世界にいるのは、有意義でかっこうのよいことをあれこれ達成するためだと思っているでしょうが、それはあなたのエゴが人々に認められようとして叫んでいるにすぎません。あなたがここにいるのは、何かをなしとげるためではなく、自分や他人について抱いているまちがった観念や信念をゼロにもどすためです。だれも、あなたの代わりにそれができる人はいません。あなたがそれらの観念を受けいれたのですから、こんどはあなたが拒否する番です。
 偽りを拒否することは、別段かっこうのよい仕事ではありません。実際それは地に足のついた、とても地味なプロセスです。
 どうか、ちょっと時間をとって、あなたの立てた目標の数々をながめてみてください。世間的に何かをなしとげることにかかわる目標がいくつあるでしょうか。ほとんどがそうかもしれません。しかし、それを恥じることはありません。あなたの注意が、ひたすら外界に向かっていることに気づいてください。そして気づいてほしいのです。かりに、それらの目標がぜんぶ達成されたとしても、あなたは幸福にならないだろうということに。
 幸福はいま現在の瞬間にしかありません。いまあなたが幸福であれば、それ以上に、何か達成すべきことはありません。もしあなたが明日幸福になれるとか、五分後に幸福でいられるかとかに心をわずらわせれば、いま幸福になる、ということを忘れてしまいます。計画や願いごとのすべてが、あなたを現在の幸福から遠ざけてしまうのです。(p156-157)
好み:★★★★
(注:独断と偏見によるお薦め度、または記憶による感動度・ショック度。一押し、二押し、三押し、特薦。)

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