ここで提起される“週休五日制による、三世代「菜園家族」”の構想は、今日、危機的状況に陥っている家族の再生をまず、基本目標にしています。二〇世紀市場競争の中で、みじめなまでに卑しめられた人間の尊厳を、二一世紀のおいて、なんとか復活させることなのです。この構想は、この目標実現のために、新しい社会の枠組みを提案しています。
1 三世代「菜園家族」
この構想では、人々は、週のうち二日間だけ“従来型の仕事”、つまり民間の企業や、国および地方の公共的機関の職場に勤務し、残りの五日間は、「菜園」で作物の手作りの仕事をして生活するか、あるいは商業や手工業、サービス部門での自営業(家族小経営)を営む、ということになります。
暮らしの大切な根拠地となる「菜園」では、週に五日間、「菜園の仕事」に親しむ同時に、ゆとりのある育児や、子供の教育や、土地土地の風土に根ざした文化活動や、スポーツ・娯楽など、自由自在に、人間らしい人間本来の創造的活動に携わることになります。家族はもともと衣食住の手作りの場であり、教育・文化芸術・手工芸のアトリエであったし、将来においてもそうあるべきものなのです。(p28-29)
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