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「湘南名画鑑賞会」会報 No.8

映写窓の後ろからG

第十回上映会(上映映画『七人の侍』)
1987年2月15日(日)、場所:湘南名画鑑賞会サロン

 今年最初の『舞踏会の手帳』は思いがけないほどの好評で、小さな会場に入りきれないくらいの方に観に来ていただきました。
 いつもの電話予約でなく、葉書で予約をいただいたものですから人数を調整することもできず、ご迷惑をおかけしたかとも思います。
 私たちの「湘南名画鑑賞会」も何となく今年あたりから採算ベースに乗っていくのではないかなどと、嬉しいような面はゆいような感じを持っています。

 私たちのこの会のような、特に何の後ろ盾もない、ただときどき古い言い映画を観たいという人たちだけが集まって、月に一度の名画鑑賞会を持つという同好会のようなものが、採算的にも維持できるということになれば、それは実はなかなかのことだと思うのです。

 わずか過去一年ほどの経験にすぎませんが、10回足らずの上映会を持ってみて、実際に足を運び、お金を払って映画を観に来てくださるというのは、大変なことだというのが私たちにも分かってきています。
 ですから逆にこの会のように、直接ご連絡する方たちだけでこういう会を維持できるというようなことにでもなれば、それは容易に得られない大きな安定要素だと思うのです。

 まことにささやかな会ではありますが、そこに行けば月に一度は必ず何らかの意味で古今東西の傑作とされる名画を観ることができるという場所をこの近郊都市の一角に維持できれば“湘南”の名にも恥じないということになるかもしれません。

 ところで、どういうことなんでしょう。このところ、古い映画というのをずいぶんあちこちでやるようになったと思われませんか。
 こういうことには一種世の中での共時性みたいなものがあるのかもしれません。私たちにはそんなつもりは全くなかったのですが、「何だか世の中の流行みたいだなあ」などと思ったりします。

 時というカンバスの上につかの間の夢を描くというのが人生なのでしょうから、ちょっと矛盾するかもしれませんが、必ずしも永続を狙うということでもないようにおもうのです。
 今はただ、一回一回が確かな手応えのある映画であり、上映会であってくれたらいいと思っています。
 そうすれば、それがいつか夢を共有した何人かの人々の記憶の中に“幻の劇場”として残るのではないかなどと、大層なことを思ったりもしてみるのですが。  

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