VIGYAN BHAIRAV TANTRA 技法 60

受け容れ

タントラ秘法の書D
『和尚講話録:愛の円環』
から抜粋

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私の中の対象と欲求は、他人の中にも同じように存在する。
そのように受け容れれば、それは変容される。


 誰も特別ではない! 宗教的なマインドは、誰もが同じだということを知っている。だから、自分を合理化するなら、他人にも同じ合理化を許すことだ。もし他人を批判するなら、その同じ批判を自分にも適用することだ。二重に基準を作ってはいけない。基準がひとつだけなら、あなたの存在はすっかり変容される。なぜなら、基準がひとつだけなら、あなた公正になり、初めて真実をありのままに直視できるようになるからだ。
 これによく似た技法は、前にひとつ出てきた。その違いはただひとつ、日常的な活動の中で実行することだ。単独に実行するのではなくて、ほかのことをしながら実行する。なにかを食べていたら、食べたままでその隙間に注意を保つ。歩いていたら、歩いたままでその隙間に注意を保つ。眠りにつくときには、横になって眠りの訪れるがままにし、その隙間にずっと注意を向け続ける。

 私の中の対象と欲求は、他人の中にも同じように存在する。
 そのように受け容れれば、それは変容される。

 受け容れたら、それは変容される。でも私たちの現実はどうか。私たちの見方によると、欲求は他人の中にある。悪いものはみな他人の中にある。良いものはみな自分の中にある。だとしたらどうして変容できるだろう。
 ……
 宗教的な人間は、他人の中に見えるものすべてを、自分の中にもまた見る。もし他人の中に暴力があったら、ただちに自分の中にも暴力があるかどうかを自問する。もし他人の中に貪欲があったら、もしどこかに貪欲を見たら、彼の最初の想いは、自分の中にも同じ貪欲があるかどうかだ。探求が進めば進むほど、自分こそがあらゆる邪悪の源泉だとわかるようになる。そると、もはやどう世界を変えるかは問題ではなく、どう自分を変えるかが問題となる。変化が始まるのは、唯一の基準を受け容れたときからだ。するともう変化は始まっている。(p198-p200)

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