VIGYAN BHAIRAV TANTRA 技法 62

心を瞑想への扉として使う

タントラ秘法の書D
『和尚講話録:愛の円環』
から抜粋

-62-

あなたの心(マインド)がどこをさ迷っていようとも
――それが内側であろうと、外側であろうと――
まさにその場所で、このことが。


 <存在>の中に根を持ってこそ、ものは存在できる。たとえあなたの心が夢見ていようと、空想していようと、さまよっていようと、緊張していようと、悩んでいようと、苦しんでいようと、どのように動こうと、どこへ動こうと、心は<全体>の中に根づいている。そうでなければ心は可能ではない。存在から外に出ることは不可能だ。今のこの瞬間にも、あなたはその中に根づいている。(p266)

 あなたの心(マインド)がどこをさ迷っていようとも
 ――それが内側であろうと、外側であろうと――
 まさにその場所で、このことが。

 対象から心自体へ戻れば、あなたはもう普通の心ではない。あなたが普通であるのは、対象のせいだ。突如として、あなた自らがブッダとなる。あなたはすでにブッダだ。ただ、多くの雲によって重荷を負わされているだけだ。重荷を負わされているだけではなく、自分の雲に執着している。そして雲が動くのを許さない。雲のことを自分の所有物だと思っている。雲が多いほどいいと思っている――多いほど自分は豊かになると……。そのせいで、あなたという空が、内側の空間が、すべて隠されてしまう。そうして空は雲のさなかに消え失せ、雲があなたの生となる。生のこの雲こそが、サンサーラ、世界だ。
 この焦点の変化は、一瞬の間にも起こる。それはつねに突然起こる。とは言っても別に、突然起こるからあなたは何もしなくていいという意味ではない。あなたは一所懸命やるしかない。でも、それは段階的には起こらない。一所懸命にやることによって、ある日突然、蒸発するのにちょうどいい温度になる。突然、水がなくなる。水が蒸発してしまう。突然、あなたは対象の中にいなくなる。あなたの目の焦点は雲にない。突然、目は内側へと転じ、内なる空間へと向かっている。(p270)

VBT へ  ・本棚へ  ・home へ