タントラ秘法の書I 『和尚講話録:空の哲学』から抜粋 |
この技法を実行するには、人気のない場所に座るといい。周囲に自然があれば一番だが、そうでなければ部屋でもいい。それから目を閉じ、想像する――「内側と外側に精神的な力が感じられる」と……。自分の内側には意識の川が流れ、それが部屋中に溢れだしていく。自分の内と外、いたるところに精神が現れる――エネルギーが現れる。ただ心の中でそれを想像するだけでなく、体で感じてみる。体が脈打ち始める。体の脈打つのが感じられたら、それはつまり想像力が機能を始めたということだ。 宇宙全体が、少しずつ精神化していく。すべてが、精神となっていく……部屋の壁、周りの樹々、すべてが非物質化し、精神となっていく。物質はもはやない。 それは現実でもある。物理学者によれば、物質とは幻想だ。エネルギーこそが現実だ。目には個体と映っても、その個体性は外観にすぎず、個体であるものはない。物理学が物質の中に深く入れば入るほど、物質は消え失せていく。ただ非物質的エネルギーだけ、非限定的なエネルギーだけが残る。 …… エネルギーを想像してみる――実体的でなく、静的でなく、移り行きであり、動きやリズムや踊りであるものを想像する。そして宇宙全体が精神化されるまで、想像し続ける。やり通せば三ヶ月のうちに……毎日一時間、一所懸命にやれば三ヶ月のうちに、きっと周囲の存在がすっかり違って感じられるようになる。もはや物質はない。非物質的で大海のような存在、波動があるのみだ。これが起これば、神というものがわかる。エネルギーの大海こそが神だ。べつに神という人物がいるわけではない。天のどこかで玉座に就いているわけではなく。そんなものはいない。神とは、一切の存在物の「全体性」だ。存在のこの創造的なエネルギーこそが神だ。(p99-p104) |